一様音響管における共鳴 (Resonance in a Uniform Tube) -その1-

まっすぐに伸びた細い管に息を吹き込むと、「プー」と音がなることがあります。これはその管において、共鳴(resonance)が起きているからです。断面積が一様な(変化しない)管の中における共鳴を見てみましょう。共鳴を起こしているときは、管の中では定常波が形成されています。そのとき、管の中の空気粒子の速度分布を描いてみると、下の図のようになります。

両側が閉じている管の場合、両端で節(node)を形成します。これは、閉じた端では空気の粒子が自由に動けず、固定端になっているからです。

このとき作られる音の波長$\lambda$は、管の長さを$l$とすると(上の図の波が波長のちょうど半分になっているので)$2l$であることがわかります。つまり、
$$\lambda = 2l$$となります。音速を$c$とすると、音の周波数$f$は、
$$f = c / \lambda$$であることから、
$$f = c / (2l)$$となります。もし音速c = 340 m/sで、l = 17 cmの場合、
$$f = c /\lambda = 340 / (2×0.17) = 1000 \mathrm{Hz}$$すなわち、共鳴周波数が1 kHzになることがわかります。

ところで、この同じ管において次のような定常波もできるので、このときにも共鳴が起きます。

 このとき作られる音の波長$\lambda$は、管の長さ$l$とちょうど一致します。つまり、
$$\lambda = l$$となり、音の周波数$f$は、
$$f = c / l$$となります。

同様に、

の場合は
$$\lambda = 2l / 3$$となり、音の周波数$f$は、
$$f = 3c / ( 2l )$$となります。結局、共鳴周波数$f_{n}$は
$$f_{n} = c / ( 2l ) × n \ (n = 1, 2, 3,\cdots)$$となることがわかります。

それでは、両側が閉じた一様音響管の中における共鳴現象をKundtの実験によって確認してみましょう。この例では、17 cmの管の中にコルクの粉が入っていて、端にはスピーカが取り付けられています。発振器から周波数が可変の正弦波(純音)を入力すると、ある周波数では音が大きく聞こえ、コルクの粉が「踊る」ところがあります。それが、共鳴周波数に対応します(以下のビデオでは、その周波数は約1kHz)。

  1. Stevens, K. N., Acoustic Phonetics, MIT Press, Cambridge, MA, 1998.
  2. Sakamoto, S., Asakura, T., Ueno, K., Sakimoto, Y., Satoh, F. and Tachibana, H., “Visualization of acoustic resonance phenomena using Kundt’s dust figure method,” J. Acoust. Soc. Am., 120(5), 3070, 2006.