上智大学 理工学部 情報理工学科 荒井研究室 研究分野:音声コミュニケーション

「水上の音楽」や、「ハレルヤ」などで有名なゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel)は、バロック時代に活躍した作曲家です。もともとドイツのハレ(Halle)という町に生まれ、その後イギリスに渡り活躍しました。

ヘンデルハウス(Händel-Haus)はドイツのハレ(Halle)にある彼の生家であり、博物館として公開されています。そこではバイオリンやオルガン、ハープシコードやピアノなど、さまざまな種類の古楽器が展示され、その音を聞くこともできます。

声道模型

2015年から、博物館の一角に「Klangstudio」と呼ばれる音の実験室が新たにオープンしました。そこでは音に関するいくつかの体験ができ、その1つとして理工学部情報理工学科の荒井隆行教授が開発した「声のしくみ」を説明する声道模型が展示されています。右の写真は2015年9月に荒井教授が博物館を視察に訪れた際に展示の様子を撮影したものです。

左下にある突起を足(実際はもも)で押すとそれがふいごに連結されており、空気を送り込むことができます。すると、その気流がクラリネットのようなリードを振動させ、声の源となります(写真の上から3段目)。

上から2段目には、5本の筒が並んでおり、筒とふいごが縦に揃うように3段目を左右に動かして上下の位置を定めると、選ばれた筒から「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」のうち、いずれかの母音が実際に作られます。

写真では2段目の右から3本目の筒が選ばれており、1段目の頭の形をした断面図には「A」と表示されていることから、「ア」であることがわかります。また、頭の断面図には口の内部の形が模式的に描かれているため、どのような口の形がどのような母音になるのかを体験できる仕組みとなっています。

荒井教授は「人間の声は、一人ひとりの意思を伝えるというコミュニケーション上重要なものです。そして歌声は、音楽の中でも楽器が奏でる音と同様に、感動や安らぎを与える大事なものです。声がどのように作られるか、その仕組みをわかりやすく示す体験型展示の工夫を重ねてきました。声のしくみ自体は言語によらず万国共通のものです。この展示を通じて、純粋に声の仕組みについて体験し学んでいただくとともに、声の大切さについても改めて世界中の方々に感じてもらえればと願っています」と話しています。

同内容の記事が上智大学のHPにも掲載されています。上智大HPでの紹介はこちら

(2016/06/01更新)