今回、ご協力いただいたのは私(荒井隆行)の情報系の授業を以前に受講してくれて、その後、アナウンサーとして活躍している川島葵さんです。彼女の声は、学生の時からピカイチで、その当時も荒井研究室で行われていた実験のために川島さんの声を録音させていただいたほどでした。その川島さんですが、私が特にお願いしたかったのが、話す対象によって声の作り方を変えるプロの技。そこで、荒井研で行われる架空のイベントに、川島さんが司会者として登場するという場面を設定してみました。なお、録音は2023年11月22日に行われました。
録音をお願いする際に、ご本人に説明した場面設定は次のようなものでした。今回の催しは、上智大学で開催される荒井隆行が講師を務める講演会。会場には声道模型も準備され、デモンストレーションデモをふんだんに取り入れる形式の講演会です。川島さんにはその講演会の司会で、最初の挨拶をしていただくという設定。その様子は、ラジオ番組で放送されることになっています。なお、この番組は毎週、日本全国の科学者のもとに出向き、講演会などを公開録音して放送するというもので、今回は上智大学で開催する運びとなった、という設定です。
まず1つめのパターンは、大人を対象にした場合の例です。一般の市民の方々にお集まりいただき、会場の教室には50名ほどの方々がいらしてくださっています。
次に、未就学児を対象にした場合の例です。子どもたちは教室の前のほうに50名ほどが座っていて、後ろには親も見守ります。
そして最後が、小学生を対象にした場合の例です。
それでは、以上の3つを聞き比べてみてみましょう。まず、それぞれに合わせて話す言葉を少しずつ変えていただきました。さらに、それに加えて声のトーンが違うことにもご注目ください。大人を対象とした場合は、自ずと落ち着いたトーンの司会になる一方、子どもを対象とした場合には、声も高くなる傾向にあるのがわかります。同じ内容を語る1文に着目するため、冒頭の「皆さん、こんにちは!」を対象とし、その平均的な声の高さ(基本周波数)を音声分析ソフトウェア Praat を使って分析してみました。その結果、大人を対象とした場合は平均値が334 Hzであったのに対し、未就学児を対象とした場合は平均値が492 Hzにまで跳ね上がりました。小学生を対象とした場合は、平均値が397 Hzと上2つの間になるという結果となりました。確実に声の高さを対象に合わせて変えていて、そしてその基本周波数も子どもを対象にした場合には特に、子ども自身と同じくらいのレンジにまで上げていることがわかりました。
録音当日は、他の録音もあったため、短時間での録音作業となりました。が、限られた時間の中で即座に場面を切り替えてすぐに声を出しわけることが出来る川島さんの姿を見て、プロの技を目の当たりにした瞬間でした。
ご協力いただきました川島葵さん、どうもありがとうございました。

荒井研究室内防音室にて