聞きやすいアナウンス音声をめざして【Part 12】

2024年5月、私(荒井隆行)が担当する音響学の授業を熱心に聞いてくださっていた学生の一人に、言語聴覚士を目指す古谷那瑠美がいました。古谷さんはもともと、愛媛県のご出身。ローカルアイドル「ひめキュンフルーツ缶」でも活躍されていた、類まれな存在。アイドル活動に加えてラジオもされていたこともあり、その声は魅力に溢れていました。そこで、いくつかのパターンで録音させていただき、今回の聞き比べが実現しました。

まず1つめは、ラジオバージョン。ラジオの電波に乗せて声を届ける時のように、読んでいただきました。

2つめはアイドルバージョン。例えば、ライブ会場のステージ上で観客の皆さんに聞いてもらうような感じでしょうか。

3つめは地声バージョン。これは、ラジオともアイドルとも違い、なるべく自然体で読んでいただいたものです。

4つめは原稿を見ないバージョン。これがなかなか難しく、録音はしたもののいったん次に進めることに。

5つめは授業内の音読バージョン。授業の中で、音読するといった状況を想定して読んでいただきました。

そして最後に、4つめの原稿を見ないバージョンのテイク2。原稿を見ずに同じ内容を話すことが難しいため、最終的には間を少しカットして編集したものがこちらです。

以上の5つを聞き比べていただくと、少しずつ発声を変えたり、口の開け方を変えたりなど、細かいところをコントロールしている様子が垣間見られました。その背景には、状況に合わせた最適な聞きやすい声を目指されている側面があることが確認できました。特にアイドルをされていたということもあり、アイドルバージョンの声の作り方にはある秘められた技法を感じました。

ご協力いただきました古谷那瑠美さん、どうもありがとうございました。

録音の様子(2024年7月5日)
荒井研究室内防音室にて