同じアナウンス音声でも、優しく語り掛けるような雰囲気が特徴的な場合があります。上智大学4年生の菅野吏紗さんは、そのような声の持ち主。そこで、その音声を録音させていただき、特徴を分析してみました(録音は2023年1月と2月に実施しました)。
菅野さんは2022年、上智大学で行われたソフィアンズコンテストで食物アレルギーや食の多様性について活動を行い、みごと準グランプリに輝きました。その思いを綴った言葉を録音したので、まずはその音声をお聞きください。
思いを綴った言葉としてあげた上の3つめ(3/4)の一番最後の「ました」などは、その特徴がよく出ていると思いますので、取り上げてみます。この「ました」の部分には、2つ母音の「あ」があります。その2つを順番に切り出してみました:
同じ「あ」でも、このように違うんですね。特に、「ま」の「あ」については、直前の/m/の音の影響でいわゆる鼻音化されています。さらに、ご本人は無意識かもしれませんが、「ま」の「あ」では「た」の「あ」ほど口を開いていない可能性があります。ですので、スペクトルを見ても通常の「あ」とはだいぶ様子が違っていました。菅野さんの場合、ここに1つの特徴が隠されているように感じました。
最後に、子どものときからミュージカル俳優になることを夢見て子役として舞台に立っていたというお話を聞いていたので、歌声を披露してくれることになりました。話している声の雰囲気が、歌声にも醸し出されている様子もぜひ聞いてみてください。
ご協力いただきました菅野吏紗さん、どうもありがとうございました。