同じ文章であっても、違う読み方によって聴取者は異なる印象を持ちます。そのことを調べるため、12パターンの音声刺激を作り実験をした卒業研究の一部を紹介します。この卒業研究は、2022年度に中田優希乃さんによって実施され、現役アナウンサーの鹿島田千帆にご協力いただきました。文章は音や音声に関する内容でしたが、まったく同じものを12パターン実験参加者に聞いてもらい、その印象についていくつかの質問に答えてもらいました。
その中でも4つのパターンをここでは取り上げます。パターン1では、ゆっくりと読む一方で、抑揚はちゃんと付けて発話していただきました。以下は、冒頭の2文だけの抜粋です。
パターン2では、ゆっくりであったのは同じですが、パターン1とは違い、抑揚についてはあまり付けずに発話していただきました。
パターン3では、早口で、かつ、抑揚を付けて発話していただきました。
パターン4では、早口で、かつ、抑揚をあまり付けずに発話していただきました。
以上4つのパターンを含む12パターンの音声刺激に対して、12名を対象に様々な印象を問う調査を行いました。複数あった質問項目のうち、ここでは「ゆったりとリラックスした気分にさせる」音声であったかを評価してもらった結果をご紹介します。5段階で、5が「当てはまる」、1が「当てはまらない」であったとき、遅い音声、あるいは抑揚がある音声のほうが結果が高くなる傾向があることがわかりました。そして、パターン1(遅い&抑揚がある)の音声が最も評価が高く、パターン4(速い&抑揚があまりない)の音声が最も評価が低い結果となりました。
録音には鹿島田さんにご協力をいただきましたが、読み方に関して多少無理がある指示に対しても、的確な発話をしていただき感銘を受けました。大変ありがとうございました。