音が空気などの媒質を伝搬し人間の耳に届くと、私たちは「音が聞こえた」と感じ ます。音にはモノが振動をするという物理的な側面と、それを聞いて「大きい-小さい」、「高い-低い」、あるいは「どういう音色である」といった人間が感 じる心理的な側面があります。音は空 気中を「疎密波」として伝わります。その疎密波では、空気の「疎」なところ(rarefaction)と、「密」なところ(compression)が存 在します。「疎」なところでは空気は膨張して空気粒子の密度は低く、「密」なところでは空気は圧縮されて空気粒子の密度は高くなります。
下の図は波の伝搬の模式図です。
このように、粒子自身は平衡位置から自分自身の位置をほとんど変えずに振動していても、「乱れ=波」は右方向に伝搬してゆきます。この例のように、媒質中 の粒子が動く方向と波の伝わる方向が一致する場合、縦波(longitudinal wave)と呼ばれます。すなわち、音波は縦波として空気中を伝搬します。一方、媒質中の粒子が動く方向と波の伝わる方向が直交する波は、横波 (transverse wave)と呼ばれます。
- Speaks, C. E., Introduction to Sound: Acoustics for the Hearing and Speech Sciences, Singular Publishing, San Diego, CA, 1999.(荒井隆行, 菅原勉(監訳), 音入門:聴覚・音声科学のための音響学, 海文堂, 2002.)