波長(Wavelength)

波の山と山の間隔のことを、波長(wavelength)と言います。単振動の周波数が高いと波長は短くなります。また、周波数が低いと逆に波長は長くなります。その様子を次のビデオを見ながら考えてみましょう。このビデオでは、ホワイトボードの上に単振動の様子がペンで示されています(手の上下運動)。波が伝わるということをホワイトボードが一定の速さで横に動くことで表現すると、ペンが描く軌跡は正弦波になります。その正弦波の山から山の長さが波長になります。次にその単振動の周波数を速くすると、波長は短くなります。一方、周波数が低くなると波長は長くなります。

前のビデオでは、ホワイトボードが横に動く速さは一定でした。つまり、これは音速(speed of sound)が一定であることを意味しています。次のビデオでは、単振動の周波数が一定の場合、音速が速くなったり遅くなったりすることで波長がどのように変化するかを示しています。最初は、前のビデオと同じくらいの速さでホワイトボードが横に動いた場合に、その軌跡が正弦波になる様子を示しています。次に音速が速くなる、つまりホワイトボードの移動速度が速くなった場合です。その軌跡を見ると、波長が長くなっている様子が観察されます。一方、ホワイトボードの移動速度が遅くなると、波長が短くなる様子が観察されます。

以上をまとめると、波長と単振動の周波数は反比例の関係にあります。一方、波長と音速は正比例の関係にあります。それを式で表すと、

$$\lambda = c / f$$

ただし、ここで$\lambda$は波長(単位はm)、$c$は音速(単位はm/s)、$f$は周波数です。

空気中の音速は、 331.5 + 0.6 t [m/s]という式で近似されます。ただし、tは気温(単位は摂氏による度)です。ですので、しばしば常温における音速として、340 m/s という近似的な値が用いられます。このとき、1000 Hzの純音の波長は34 cmということになります。

  1. Speaks, C. E., Introduction to Sound: Acoustics for the Hearing and Speech Sciences, Singular Publishing, San Diego, CA, 1999.(荒井隆行, 菅原勉(監訳), 音入門:聴覚・音声科学のための音響学, 海文堂, 2002.)