閉鎖子音の直後に母音が続く場合、子音の調音位置にしたがって母音の第2フォルマントの開始周波数が変わります。その様子を以下のデモンストレーションで みてみることにしましょう。
このデモンストレーションでは、上図のようにフォルマント合成器を使ってフォルマント周波数を変化させてCV(子音・母音)音節を合成しています。このと き、閉鎖子音の破裂に伴うバーストは合成していません。合成に関する各パラメータは次の通りです:
- 後続母音は/a/(F1は700 Hz、F2は1200 Hz、F3は2600 Hz)
- 母音遷移部はF1とF2のみ変化させた
- 遷移時間は25 ms, 35 ms, 45 ms, 55 msの4セット
- F1の遷移開始周波数は395 Hzで一定
- F2の遷移開始周波数は600 Hzから1800 Hzまで200 Hz刻みで変化
- 基本周波数は130 Hzで一定
フォルマント遷移時間:25 ms
600Hz | 800Hz | 1000Hz | 1200Hz | 1400Hz | 1600Hz | 1800Hz | |
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25ms |
フォルマント遷移時間:35 ms
600Hz | 800Hz | 1000Hz | 1200Hz | 1400Hz | 1600Hz | 1800Hz | |
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35ms |
フォルマント遷移時間:45 ms
600Hz | 800Hz | 1000Hz | 1200Hz | 1400Hz | 1600Hz | 1800Hz | |
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45ms |
フォルマント遷移時間:55 ms
600Hz | 800Hz | 1000Hz | 1200Hz | 1400Hz | 1600Hz | 1800Hz | |
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55ms |
- Kewley-Port, D., “Measurement of formant transitions in naturally produced stop consonant-vowel syllables,” J. Acoust. Soc. Am., 72(2), 379-389, 1982.
- Kent, R. D. and Read, C., Acoustic Analysis of Speech, Singular Publishing, San Diego, CA, 2001. (荒井隆行, 菅原勉 監訳, 音声の音響分析, 海文堂, 1996.)