厚さが10 mmで中央に異なる直径の穴が開いた複数のプレートを並べることでも、任意の声道形状を近似することができます。それを表したのが次の図です。
このようなプレート型声道模型を用いると、例えば日本語5母音は次のような組み合わせによって実現されます(右側が喉頭側、左側が口唇側、単位はmm)。
Vowels | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
/i/ | 24 | 14 | 12 | 10 | 10 | 10 | 16 | 24 | 32 | 32 | 32 | 32 | 32 | 32 | 12 | 12 |
/e/ | 24 | 22 | 22 | 20 | 20 | 16 | 16 | 18 | 24 | 28 | 30 | 30 | 30 | 30 | 12 | 12 |
/a/ | 32 | 28 | 30 | 34 | 34 | 38 | 34 | 30 | 26 | 20 | 14 | 12 | 16 | 26 | 12 | 12 |
/o/ | 14 | 22 | 26 | 32 | 32 | 38 | 34 | 28 | 22 | 16 | 14 | 16 | 22 | 30 | 12 | 12 |
/u/ | 16 | 14y | 20 | 22 | 22 | 24 | 22 | 14 | 18 | 26 | 30 | 30 | 30 | 30 | 12 | 12 |
上記のようにプレートを並べ、喉頭側から音源を入力することによって、日本語5母音が生成さます。その様子を次のビデオは示しています。
ところで梅田・寺西(1966)では、幅が10~15 mmのプラスティック製の角棒を側面から抜き差しすることで声道形状を任意に変えられるような声道模型を実現しています。
この模型において、それぞれの棒にアクチュエータを装着し、コンピュータによって棒の位置を制御すると、ダイナミックに声道形状を変えることができるよう になります。次のビデオでは、母音を連続的に生成しています。
- Arai, T., “The replication of Chiba and Kajiyama’s mechanical models of the human vocal cavity,” Journal of the Phonetic Society of Japan, 5(2), 31-38, 2001.
- Arai, T., “Education system in acoustics of speech production using physical models of the human vocal tract,” Acoustical Science and Technology, 28(3), 190-201, 2007.
- Arai, T., “Mechanical vocal-tract models for speech dynamics,” Proc. of the INTERSPEECH, 1025-1028, 2010.