荒井研究室ニュースレター 2008

1. 学会活動

1.1 日本音響学会佐藤論文賞

日本音響学会の学術雑誌であるAcoustical Science and Technologyに掲載された、以下の論文が2008年に佐藤論文賞を受賞しました:

[2007_01]
T. Arai, “Education system in acoustics of speech production using physical models of the human vocal tract,” Acoustical Science and Technology, Vol. 28, No. 3, pp. 190-201, 2007.

佐藤論文賞とその授賞式の様子

1.2 INTERSPEECH

オーストラリアのBrisbaneで開催された音声コミュニケーションに関する国際会議 “INTERSPEECH”に、荒井研から5件の発表がありました[2008_072008_082008_092008_102008_11]。(荒井研からはもともと5件の論文投稿がありましたが、それらすべてが採択されたことになります。)そのうち、2件はスペシャルセッションに組み込まれました。1件は荒井の発表で“Talking heads and pronunciation training”というスペシャルセッション、もう1件は程島の発表で“Consonant challenge: Human-machine comparisons of consonant recognition in quiet and noise”というスペシャルセッションでした。Scientific Review Committeeとして査読にも関わりました。

日本(幕張)で開催される2010年のINTERSPEECHですが、その準備も少しずつ進んでいます(私はFinanceの委員を担当)。

1.3 日本音響学会ビギナーズセミナー

夏に白馬で行われたサマーセミナーに実行委員兼講師として参加しました。2008年から、このサマーセミナーはビギナーズセミナーの一部として位置づけられています。千葉工業大学の大川茂樹先生と、音声に関わる講義を担当しました。その中では、声道模型に関するデモンストレーションも行いました。また、ミニアクティビティーとして、パイプとフィルムケースを使った声道模型の工作を参加者と一緒に行いました。

1.4 日本音響学会編集委員会

2005年から編集委員会会誌部会の委員として日本音響学会誌と英文誌Acoustical Science and Technology (AST) の編集に携わっています。

1.4.1 日本音響学会誌の音響教育に関する小特集

私が担当した小特集「現代のニーズに即した魅力ある音響教育」が、日本音響学会誌第64巻1号に掲載されました。担当編集委員として、また音響教育調査研究委員会委員長として前書き[2008_04]を執筆する他、小中学生に対する音響教育[2008_05]、言語聴覚士のための音響教育[2008_06]という2編の解説記事を執筆しました。

1.4.2 日本音響学会誌の音バリアフリーに関する小特集

担当編集委員として、また音バリアフリー調査研究委員会委員として小特集「音支援(音バリアフリー)を考える」を担当しています(第65巻3号に掲載)。

1.4.3 日本音響学会誌に連載企画「音の博物館」

日本音響学会音響教育調査研究委員会が中心となって、日本音響学会誌に連載企画「音の博物館」が2006年12月より始まりましたが、荒井が引き続き担当編集委員としていろいろな記事をとりまとめています。

日本音響学会誌 連載企画「音の博物館」のページ:
http://www.asj.gr.jp/publication/museum.html

1.5 日本音響学会音響教育調査研究委員会

日本音響学会では音響教育調査研究委員会委員を2003年から務め、2005年からは委員長に就任し委員会を取りまとめています。2008年も引き続き委員長として様々な取り組みを進めています。

1.5.1 音響教育研究会

本委員会が主催する「音響教育研究会」が、2008年は2回行われました。1回目は2008年6月、小林理学研究所にて騒音・振動研究会、建築音響研究会との共催で行われました。2回目は2008年10月、国立音楽大学にて音楽音響研究会と共催で行われました。この国立音楽大学での研究会では、ピアノの調律実習体験も行われました。

1.5.2 博物館・科学館との連携

2006, 2007年に引き続き、国立科学博物館で「音の科学教室 音のふしぎ・声をつくろう」を2008年10月に開催し、小学生を中心に12名に参加していただきました。この科学教室は日本音響学会との共催で行われ、運営に当たって音響教育調査研究委員会有志の協力をいただきました。

また、2008年8月には2007年に引き続き、サイエンススクエアに「音や振動に親しもう!」と題して音響教育調査研究委員会のブースを出展しました。出展内容は2007年のときとほぼ同じですので、詳しくはニュースレター 2007をご覧ください。

1.5.3 日本音響学会誌に小特集

前述の通り、音響教育調査研究委員会と連携しながら進められていた小特集が、日本音響学会誌第64巻1号に掲載されました(1.4.1節参照)。

1.5.4 日本音響学会誌に連載企画「音の博物館」

前述のこの企画は、音響教育調査研究委員会が中心となって進められています(1.4.3節参照)。2008年は「浜松科学館」を荒井が担当しました[2008_35]。

1.5.5 日本音響学会2008年春季研究発表会

千葉工業大学で行われた研究発表会で、音響教育に関わるスペシャルセッションと、それに合わせたデモンストレーションセッションを開催しました。スペシャルセッションは「今の時代の魅力ある音響教育」と題して、3件の招待講演の他、9件の一般講演がありました(私は座長を務めました)。またデモセッションでは、上記12件の発表内容についてのデモンストレーションが繰り広げられました。その中で荒井が発表した内容については、こちらをご覧ください[2008_27]。

1.5.6 日本音響学会2008年秋季研究発表会

九州大学で行われた研究発表会で、スペシャルセッション「障がい者のための教育と音響学の関わり」が開催されました。スペシャルセッションは、音バリアフリー調査研究委員会、聴覚研究会、音響教育調査研究委員会が一緒に企画しました。そこでは、3件の招待講演と8件の一般講演がありました(招待講演の座長を務めました)。荒井が発表した内容については、こちらをご覧ください[2008_34]。

また本研究発表会から、音響教育に関する一般セッションが常にプログラムに組まれることになりました。そこでは9件の講演が集まり、まずまずのスタートを切ることができました(最初の座長を務めました)。荒井が発表した内容については、こちらをご覧ください[2008_33]。

1.6 日本音響学会音バリアフリー調査研究委員会

2006年に新しく委員会が発足し、それ以来、音声分野の代表として委員を務めています。

1.6.1 日本音響学会2008年秋季研究発表会

前述の通り、2008年秋季研究発表会では、スペシャルセッション「障がい者のための教育と音響学の関わり」が開催されました(1.5.6節参照)。

1.6.2 日本音響学会誌に小特集

前述の通り、小特集が音バリアフリー調査研究委員会と連携しながら進められています(1.4.2節参照)。

1.7 日本音響学会国際渉外委員会

2005年度から引き続き、委員を続けています。

1.8 日本音声学会

評議員企画委員を引き続き務めました。さらに、2007年からは広報委員会の副委員長を務めています。2008年6月には、北海道医療大学、日本音声学会、日本音響学会聴覚研究会が共催で、「音声研究と言語聴覚士教育・臨床」と題したミニシンポジウムが開催されました。そこでは、荒井がシンポジストとして「言語聴覚士に対する音響教育」と題して講演しました。

1.9 電子情報通信学会

発達障害に関わる研究会として、電子情報通信学会の中で第2種研究会「発達障害支援研究会ADD」を設置するため、発起人の一人を務めました。

2. 音響教育・声道模型

2.1 Acoustical Science & Technology誌ジャーナル論文

今までの声道模型を用いた音響教育をまとめた論文が、2007年にAcoustical Science & Technology誌のシステム論文特集号に掲載されました[2007_01]。この論文が2008年、日本音響学会佐藤論文賞を受賞しました。

2.2 進化し続ける声道模型

前述の通り、日本音響学会ビギナーズセミナー(1.3節)や国立科学博物館での科学教室(1.5.2節)にて、スライド式声道模型の工作を行いました。この工作も毎年、少しずつ改良を重ね、だいぶ工作がし易くなったと思います。その改良の様子はこちらをご覧ください[2008_112008_33]。舌がゲル素材で出来た舌可動式の声道模型[2008_032008_23]に続いて、軟口蓋がゲル素材で出来た軟口蓋可動式声道模型も試作しました[2008_22]。また、後述するソニー・エクスプローラサイエンスでの企画展では、今までの男性用の声道模型に加え、女性用の声道模型も用意しました(2.3節参照)。

2.3 ソニー・エクスプローラサイエンス

2008年9月27日から11月30日までの約2ヶ月間、ソニー・エクスプローラサイエンスにて「声」に関する企画展、「What’s Voice?-声ってなぁに-」が開催され、その監修に携わりました。この企画展は声のしくみなどを一般の方にも理解してもらえるようにと、「いろいろな声」、「声のしくみ」、「声を見る」、「声を聞く・録る」などの展示コーナーから構成されました。「いろいろな声」のコーナーでは、声を職業としている歌手や声優の方々の自分の声に関するインタビュー(「アーティスト・トーク」と題して、石井竜也さん、中川翔子さん、戸松遥さんらが協力)などが展示されました。「声のしくみ」のコーナーでは、声道模型を用いて母音のしくみを解説しました。「声を見る」のコーナーでは、声のスペクトル分析や「声紋パズル」を展示しました。「声を聞く・録る」のコーナーでは、骨導ヘッドホンやリニアPCMレコーダ等が展示されました。私は主に「声のしくみ」と「声を見る」という2つのコーナーを監修しました。「声のしくみ」では前述の通り、今までの男性用の声道模型に加え、女性用の声道模型も用意しました。それに伴い、音源も男性用と女性用を揃えました。また「声紋パズル」では、荒井研で開発されたディジタル・パターン・プレイバックの技術を応用し、日本語101モーラに対応するスペクトログラムの素片を組み合わせて任意の言葉を作れるような体験型展示を実現しました。

ソニー・エクスプローラサイエンスでの企画展「What’s Voice?-声ってなぁに-」の様子
(中央は声道模型の展示、右は「声紋パズル」の展示)

2.4 声道模型がNHKに登場

2.4.1 NHK BSハイビジョン「アインシュタインの眼」

歌声をテーマにした番組で声のしくみを説明したい、ということで撮影の協力をしました。

NHK BSハイビジョン「アインシュタインの眼」

2.5 声道模型のデモンストレーション

2008年も声道模型のデモンストレーションを様々なところで行いました:

  • 日本音響学会サマーセミナー
    スライド式声道模型を作るミニアクティビティーを行いました。
  • 上智大学全学共通科目「マルチメディア情報社会論
    デモを含めた講義を行いました。
  • 横浜共立学園高等学校
    体験授業にて、講義とデモを行いました。横浜共立学園高等学校のホームページにもその様子が紹介されました。
  • 東京都立科学技術高等学校
    スーパーサイエンスハイスクール大学体験研修の一環として生徒さんが上智大学を訪問。荒井研でも音声研究に関する短い説明と声道模型のデモを行いました。
  • 国立科学博物館
    「音の科学教室」にてデモと声道模型の工作を行いました。
  • 日本音響学会研究発表会
    春季研究発表会では音響教育に関わるスペシャルセッションとデモンストレーションセッションが開催され、声道模型の展示を行いました(1.5.5節参照)。秋季研究発表会では、音バリアフリーに関するスペシャルセッションでの発表のほか、常設されて初めての音響教育のセッションでデモを交えながら発表を行いました(1.5.6節参照)。
  • 上智大学のオールソフィアンの集い
    新しく生まれ変わった理工学部を記念して企画された展示と実演コーナー「科学って面白い!」にて、声道模型の展示を行いました。
  • 上智大学のオープンキャンパス
    研究室の公開の一環として、声道模型を展示しました。
  • CEATEC
    2007年に引き続き、声道模型を中心に出展しました。

2.6 小学生向け教材

我々が作った肺の模型の写真が、2005年以来、引き続き進学教室サピックス小学部の教材に採用されました。

3. 国際共同研究ならびに国内共同研究

3.1 Matias Budhiantho先生

インドネシアのThe Satya Wacana Christian Universityから、Matias Budhiantho先生が上智大学のSTEC(Science and Technology Exchange Committee)による助成 “Sophia Lecturing – Research Grants” を通じて客員准教授として荒井研を滞在されました。

3.2 北海道医療大学

前述の通り、2008年6月には北海道医療大学、日本音声学会、日本音響学会聴覚研究会が共催で開催されたミニシンポジウム「音声研究と言語聴覚士教育・臨床」において、荒井がシンポジストとして「言語聴覚士に対する音響教育」と題して講演を行いました。その際、荒井研で共同研究員を5年以上されていた小松雅彦先生(当時、北海道医療大学准教授)に大変お世話になりました。

3.3 武蔵工業大学

吉野邦生先生と、新たな本の出版に向けて執筆活動を進めています。

3.4 国立精神・神経センター病院

言語聴覚士の廣實真弓先生と、新たな共同研究が始まりました。

4. 産学連携

4.1 NTTアドバンステクノロジ株式会社(NTT-AT

荒井研が技術提供した声道模型教材VTM-10は、2008年3月をもって販売が終了しました。

4.2 株式会社フジヤマ

2004年から株式会社フジヤマ(吉井順子社長)と共同プロジェクトが進んでいます。荒井研側のプロジェクトメンバーは、古賀綾子、加島慎平、松浦杏子、Pek Kimhuoch、長谷川敬、上條賢、鹿野沙也香。

株式会社フジヤマのホームページ:
http://www.fujiyama1.com/

学長の石澤良昭先生の協力を得て荒井研で動画制作を行ったシアヌーク・イオン博物館の紹介動画が、フジヤマさんとの共同プロジェクトの一環として上智大学アンコールワット遺跡国際調査団のホームページから公開されました。この動画には多言語(日本語、英語、クメール語)の字幕が付けられており、フジヤマさんのPC字幕視聴ビューアーMABLを介して誰もがインターネット上でこの動画を字幕付きで見ることができます。

上智大学アンコールワット遺跡国際調査団のウェブページ:
http://angkorvat.jp/media.html

PC字幕視聴ビューアーMABL:
http://www.fujiyama1.com/angkor_wat/

4.3 TOA株式会社

荒井研の拡声システムに埋め込む音声明瞭度改善のための前処理に関して、TOA株式会社と共同研究が進んでいます。特に、栗栖清浩さんには大変お世話になっています。荒井研側のプロジェクトメンバーは、程島奈緒、村上善昭、中田有貴、久保匡史、吉田航、千葉亜矢子、松風要平、辻美咲。2006年度からは学外共同研究として本格化しています。2008年の成果はこちらをご覧ください[2008_142008_252008_262008_292008_31]。

TOA株式会社のホームページ:
http://www.toa.co.jp/

5. 助成を受けた研究プロジェクト

5.1 科学研究費補助金(基盤研究A, 16203041

研究代表者が外国語学部菅原勉先生(2006年度からは進藤先生)で、同学部飯高京子先生、進藤美津子先生、平井沢子先生、東京工科大学メディア学部の飯田朱美先生他と共に進めてきた研究課題、「コミュニケーション障害者に対する支援システムの開発と臨床現場への適用に関する研究」(4年の文理融合型プロジェクト)が、2008年3月で終了しました。2008年の成果はこちらをご覧ください[2008_012008_022008_032008_052008_062008_202008_232008_252008_262008_27]。

5.2 科学研究費補助金(基盤研究B, 17390543

昭和大学歯学部片岡竜太先生が研究代表者で進められている「4次元声道モデルに基づいた鼻咽腔閉鎖機能診断、治療支援システムの開発」というプロジェクトに2006年度から参加させていただいておりましたが、2008年度で最終年度を迎えました。2008年の成果はこちらをご覧ください[2008_222008_34]。

5.3 科学研究費補助金(基盤研究C, 18530762

外国語学部平井沢子先生が研究代表者で進められている「音韻障害児の音韻情報処理特徴の解明と学習支援方法の開発および実用化の研究」というテーマの3年間のプロジェクトが、2008年度で最終年度を迎えました。

5.4 科学研究費補助金(基盤研究C, 19500758

2007年度から私が研究代表者で進めてきた「声道模型を用いた『人間の音声生成機構を直感的に学ぶ』音響教育の実践」という2年間のプロジェクトが、2008年度で最終年度を迎えました(1.1, 1.3, 1.4, 1.5の各節ならびに2節参照)。研究成果の一部はこちらをご覧ください[2008_032008_052008_062008_102008_112008_222008_232008_272008_332008_34]。

5.5 オープン・リサーチ・センター(ORC整備事業

2007年度から情報理工学科田中衞先生が代表者の「人間情報科学研究プロジェクト」がスタートしましたが、2008年度で2年目を迎えました。私は3つのグループのうちの1つ、「ヒューマン・コミュニケーション・グループ」のグループ長としてプロジェクトをリードしておりますが、本グループは文理融合型の研究体制を取っており、言語学専攻、心理学科認知心理学研究室を始めとする学内メンバーの他、学外では早稲田大学の近藤眞理子先生もメンバーに加わっていただいています。その研究成果の一部はこちらをご覧ください[2008_072008_082008_092008_122008_132008_142008_182008_212008_242008_282008_292008_302008_312008_32]。

このORCプロジェクトでは、以下のように2008年度に7回の研究会を開催しました(敬称略):

【第1回ORC研究会】
講演者:Hansjoerg Mixdorff (Berlin University of Applied Sciences)
タイトル:Auditory-visual Perception of Tone and Lombard Speech

【第2回ORC研究会】
講演者:John J. Ohala (Professor Emeritus, University of California, Berkeley)
タイトル:Speech Aerodynamics: Sound Patterns involving Nasalization and Oralization

【第3回ORC研究会】
講演者:Maria Luisa Garcia Lecumberri (University of Basque Country, Spain)
タイトル:Native vs. Non-Native Listeners’ Perception in Noise

【第4回ORC研究会】
講演者:入野俊夫(和歌山大学)
タイトル:日英母国語話者における子音/音節処理の脳内部位の対比- CV・VC音節を用いたfMRI実験-

【第5回ORC研究会】
講演者1:飯高京子(NPO法人木馬の会)
タイトル:音声言語の世界から文字言語世界へのひろがり

講演者2:都田青子(東京農工大学)
タイトル:音韻論の立場から見た言語習得

ポスターセッション:
2時間に渡り、34名がポスター発表を行いました。

【第6回ORC研究会】
講演者:レビット順子 (June S. Levitt) (米国テキサス大学ダラス校博士課程)
タイトル:非母語音声習得における視覚的フィードバックの効果     -アメリカ英語話者による日本語ラ行音トレーニング-

【第7回ORC研究会】
講演者1:Roy Patterson (University of Cambridge, UK)
タイトル:The Robustness of Speech Perception and Lessons for Speech Recognition Machines
講演者2:Karalyn Patterson (Medical Research Council, Cambridge, UK)
タイトル:The Organization of Language in the Brain: Does it Matter Which Language You Speak?

5.6 その他の研究助成

5.6.1 三井住友海上福祉財団

程島が、「『音声によるバリアフリー』に向けた、公共空間で高齢者が聞き取りやすい拡声音情報の調査」というテーマで研究助成を受けました(2008年度)。

5.6.2 日本学術振興会

程島が、INTERSPEECH(2008年9月22日から9月26日開催)に対し国際学会等派遣事業の助成を受けました。

5.6.3 NEC C&C財団

程島が、Acoustics ’08 Paris(2008年6月29日から7月4日開催)に対し国際会議論文発表者助成を受けました。

5.6.4 井上科学振興財団

網野が、Acoustics ’08 Paris(2008年6月29日から7月4日開催)に対し国際研究集会出席旅費助成を受けました。

6. 学内における文理融合・共同研究

6.1 外国語学研究科言語学専攻

前述のORCプロジェクトでは、石川彰先生、吉田研作先生、篠原茂子先生や、言語聴覚研究センターの先生方とご一緒させていただいています(5.5節参照)。

言語聴覚研究センターの飯高京子先生、進藤美津子先生、平井沢子先生ならびに言語障害研究コースの皆さんとの共同研究も進んでいます。その研究成果の一部はこちらをご覧ください[2008_012008_022008_152008_19]。

2008年1月には、言語聴覚研究センターの平井沢子先生の博士号の学位審査会が行われ、私が副査を務めました(論文題目は、“口蓋裂を伴うTreacher Collins症候群患者の構音障害と頭蓋顎顔面の形態”)。その他、2008年には言語学専攻の修士論文に対して3件の副査を務めました。一方、荒井研の2008年度の学位論文では、小林敬(博士)と春日梨恵と田中希美(共に修士)の副査を進藤先生にお願いしました。

6.2 心理学科認知心理学研究室

前述のORCプロジェクトでは、道又爾先生ならびに認知心理学研究室の皆さんとも一緒に共同研究が進んでいます(5.5節参照)。

6.3 アンコールワット遺跡国際調査団

前述の通り、学長の石澤良昭先生の協力を得て荒井研で動画制作を行ったシアヌーク・イオン博物館の紹介動画が、アンコールワット遺跡国際調査団のホームページから公開されました(4.2節参照)。

7. 社会への貢献・著書など

7.1 国立科学博物館

前述の1.5.2節をご参照ください。

7.2 ソニー・エクスプローラサイエンス

前述の2.3節をご参照ください。

8. 荒井研内のニュース

8.1 荒井研10周年記念パーティー

1998年度からスタートした荒井研ですが、2008年3月で満10年を迎えました。それを記念して2008年2月、麹町スクワールにてパーティーが行われました。そこには荒井研関係者のみならず、出身研究室である吉田研卒業生、共同研究などでお世話になっている方にもいらしていただき、盛大なパーティーとなりました。今まで支えてくださった皆様、本当にいろいろとありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

荒井研10周年記念パーティー

8.2 ジャーナル論文

前述の通り、Acoustical Science and Technology誌に掲載されたAraiによる論文[2007_01]が、2008年に日本音響学会佐藤論文賞を受賞しました(1.1節参照)。また、日本音響学会誌に小林敬他による論文が掲載されました[2008_01]。

8.3 学位論文審査

満期修了した荒井研の小林敬に対する博士号の学位審査が2008年6月に行われました。言語聴覚研究センターの進藤美津子先生と、客員教授の倉片憲治先生に副査をお願いし、荒井が主査を務める2人目の荒井研ドクターの誕生となりました。

8.4 特別研究員・研究補助員

2008年4月から、荒井研の程島奈緒が上智大学の特別研究員に、網野加苗、安啓一、増田斐那子の3名が研究補助員になりました。(増田は2008年3月に言語学専攻博士前期課程を修了後、2008年4月から荒井研メンバーに加わりました。)

8.5 日本国際賞

選抜の末、荒井研の学生5名(網野加苗、安啓一、Pek Kimhuoch、田中希美、松浦杏子)が、国際科学技術財団が授与する日本国際賞の授賞式典(2008年4月)に出席する機会を与えられました。

8.6 理工学部共同研究員

2008年度も引き続き理工学部共同研究員は次の3名の方々です:吉井順子さん(株式会社フジヤマ)、栗栖清浩さん(TOA株式会社)、小林敬さん。

8.7 客員教授

2007年10月から、産業技術総合研究所(産総研)の倉片憲治先生に客員教授としてご指導を受けています。これは、上智大学と産総研との教育研究協力に関する協定(連携大学院制度)によるものです。

8.8 Fastlの会

2007年から、リオン株式会社の皆様、産総研の皆様、そして上智大学、特に荒井研のメンバーを中心に、「Fastlの会」を毎月開催しています。この会では、Fastl & Zwicker著の“Psychoacoustics”という教科書を輪読しています。

9. 学位論文題目

9.1 博士論文

小林敬
高齢者の音声明瞭度に関する定常部抑圧処理による音声強調の実験的研究

9.2 修士論文

春日梨恵
口蓋裂患者における開鼻声の定量的重症度評価のための音声作成

久保匡史
残響下において定常部抑圧処理を施した音声を両耳受聴した際の明瞭度改善:
音源と聞き手の向きに関する考察

松浦杏子
自動音声区間検出と字幕付与システムへの実用化応用:
スペクトル遷移と線形予測分析に基づいた検出法を用いて

Pek Kimhuoch
変調フィルタリングによる自動音声区間検出とその多言語における比較

田中希美
声道模型を用いた摩擦音/s/と鼻音化母音のモデルに対する音響測定